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木の調湿作用について




湿気をコントロールして湿度を一定範囲に保つことを調湿と言います。人間の体温は、食物と酸素の摂取によって産出された熱が絶えず放熱されることによって一定に保たれています。放熱の内訳は約70~75%が輻射、伝導、対流で残り20~25%が、発汗を主とした水分蒸発に依って行われている。この比率は一定の範囲内にあることが望ましい。

湿度や温度が変わると水分蒸発量は著しく変化し、体温調節機能に影響を及ぼし風邪などを患う。夏風邪と呼ばれる病気は湿度の影響が大きいものです。発汗は体温調節に留まらず、種種の代謝にも関与し、生理機能に大きな役割を果たしている。

それ故、発汗を適度に促す環境は健康を保つ為に必要であり、調湿はその環境作りに欠かせない要素です。室内で発生する湿気を発生源別に挙げると、表の通りである。炊事による湿気、石油・ガスなどの直接熱源による湿気、人の身体から出る湿気、濡れた布巾やタオル、洗濯物などから出る湿気、洗顔・入浴に伴う湿気などが主な発生源です。

実験値では、室温20°Cの8畳間の相対湿度を10%上昇させる水蒸気量は約150gほどである。表が示す通り、室内で発生する水蒸気量は極めて多い。窓ガラスの結露が問題視されることが頷ける。 城本住建『咊』は、炊事に水蒸気量の大きいガス燃焼は用いずオール電化によるIH電磁調理器を採用しています。又,入浴・洗顔や洗濯等の水蒸気発生箇所を生活動線から隔離した場所に設置し、生活時間の長い寝室・居間には調湿作用の優れた木材や珪藻土の内装仕上を標準仕様にしています。

木材の調湿作用は木材の厚みにその作用期間は左右されます。


室内に現した木材による調湿実験が東京都八王子市北野に建てられた試作住宅2棟の室内気候の観測が行われています。2棟の試作住宅は木造で、同一敷地内にほぼ同一の部屋構成をもって建てられており、A棟の居間は、木材が室内に現れてなく、B棟は木材現しに仕上られ。観測された時期は、大寒から梅雨を経て盛夏に至る半年間に渡り、様々な天候の下で資料が得られています。室内の相対湿度差の違いに驚かされます。

A棟の木材が室内に現れてない居間は、相対湿度が17%~95%と変化が大きく、しかも湿度範囲が40%と身体へ負荷値が大きいのに対し、B棟の木材が室内に現れている居間は、相対湿度が33%~72%、範囲が18%と身体への負荷の少ない事。木材の調湿作用の素晴らしさが立証されました。 木材の調湿作用は木材の厚みにその作用期間は左右されます。

東京大学・大学院農学生命科学研究科・岡野健教授は温湿度には日周期と年周期があり、気団の移動に伴う数日の周期、梅雨前線や秋雨前線の停滞に伴う周期がある事に着眼され、木材の厚みと温湿度変化の周期別調湿作用効果を実験されました。日変動では表面から3㎜しか有効ではないが、高湿度が3日周期では5.2㎜が有効な厚さ、10日周期では9.5㎜厚、1ヶ月周期には16.4㎜厚が有効な木材の厚みとされています。

 日動変は生活活動中に発生する水蒸気による湿気であり、熊本地方の湿度が長期にわたり高いのは梅雨時です。梅雨の谷間の晴れた日もありますが、梅雨は半月以上続くことから『咊』は、床に15㎜の無垢フロ-リング、壁に9㎜厚の無垢羽目板張りを標準仕様にしています。更に、断面積の大きい梁(15cm×45㎜)を居間には梁現しにしています。この事は湿気保持キャパシティを大きくするのに役立たせる為です。