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木目と感性について


木目は成長の証です。その成長も生育条件の善し悪し、気候条件の良い時期、天災や病害虫に遭遇した時期などの経歴があり、変化に富んでいます。20年ほど前、アメリカの医学誌に『無地の部屋で過ごした乳児・幼児は、知恵遅れの傾向にある』とのショッキングな発表がありました。

理由は脳活動が活発になる時期に脳刺激が少ない環境で育ったからだと。気分障害の『躁鬱病』を患った患者が刺激の無い無地の壁に向かいたがるに通じるとの見解が符されていました。同じ時期に、東京大学の有馬孝禮教授は横浜での講演で『自分の育った家の天井は、節のある板張りだった。



幼児の頃、布団に入り天井を見上げながら節や木目を見ながら誰かの顔に似ているとか。池に石を投げて遊んだ時に出来た波に似ているなど想像を巡らして眠りについたものだ。』と豊かな生育環境に木目が重要との説を述べてられます。

近年、無地の壁紙が主流だった総合病院の腰壁の羽目板張リに、腰壁の高さに手摺を設ける改装が多く見られるようになりました。熊本大学教育学部長・大迫康雄教授は『かって世界的規模で校内暴力が問題になったとき、その原因について種々の議論が各国でなされた。この内、カナダ、フランス、旧西ドイツなどでは、鉄筋コンクリ-ト造りの近代的と称される学校建築に、校内暴力の原因の一つがあるのではないか、と問題提起された。


ンクリ-ト、ガラスなどの無機質材料が、児童、生徒の攻撃的な性質を増長させる。上述の国々では、それを解決するための方策が検討されている。』この警鐘に当時の文部省教育助成局が動き、建築仕上材として、適所に木材を使用することにより、温かみと潤いのある教育環境づくりが期待されるなどを揚げた局長通知が発せられ、以降教育施設の室内に積極的に木材の活用が見られるようになったものの、教育施設だけでなく、家庭においても導入すべきと考えています。